人気ブログランキング | 話題のタグを見る
若者に告ぐ
『 リング 』、『 らせん 』 シリーズの作者、鈴木光司さんは、主夫として子育てをしているお父さんとして有名です。
 で、ちょっと、読んでみました。

若者に告ぐ_c0259834_226445.jpg

『 現在を生きよう 』 ( 鈴木光司さん / 実業之日本社 )

 若者に向けて書かれた本のようなのですが、
 子育てしている世代も読み応えのある、価値ある一冊だと思います。

 僕がとくに共感したのは、未来は明るいと次世代に伝えていこう、というような意見。

『 …手本としたくなるような老人がなかなかいないことが問題だ。若い世代が、「自分もああなりたい」と憧れるほど、スマートに歳をとっている人が少ないのは不幸なことだ。こうなるとみんな、「やっぱり若いうちが華」だと思うだろう。… 』

『 年をとるほどに楽しくなるのが本来の姿であってほしい。… こういうことは大人世代がどんどん発言しなければならないことだと思う。 』

『 よく、「もうそんなことをやる年じゃないのに」と年をとった人間への揶揄を耳にするが、そんなことは全然ないと思う。楽しいことは、いくつになろうとハメを外して楽しんでも罪にはならないはずだ。九十歳になっても踊りたい気分なら、人目を気にせずその場で踊ればいい。 』

 ちょっと、極論という気もしますが、他人に迷惑をかけない範囲で、自由に楽しむべき、という意見には賛成です。「大人しく」することが大人だと決めてしまうのは、自分で勝手に「大人はつまらない」と決めつけてしまうことだと思います。

 大人が楽しむのは、子供にとっての憧れになるはずです。毎日しんどい姿ばかりを次世代を担う子供たちに見せるのではなく、楽しんでいる姿を見せる大人でいたいと思いました。

 中高生や中高生の親世代に読んでほしいと思う本です。
 鈴木光司さんは男らしい男を育てる逞しい父親、というイメージなので、
( いざというときに家族を守れない男は男じゃない、みたいな信念をお持ちで、筋トレを続けているかたですよね )
 特に、中高生男子、中高生男子のお父さんにおススメです。


 ちなみに、
 テレビや映画のイメージで、『 リング 』、『 らせん 』はホラーというい印象が強くなっていますが、
 原作は、ホラーというより、サイエンスフィクションです。というか、
 非科学的な、ただただ怖がらせようとする物語ではなくて、実に巧妙に設計された理論の上で世界が構築されています。
 ビデオを見た人間は1週間で死んでしまう、なんて、なんとまぁむちゃくちゃな設定か、と思いましたが、読んでみると、「 なるほど!そういうことなら、なんだか起こり得そうだ! 」と思ってしまいました。
 作家になると決めていても、理系科目の勉強も一生懸命になれた鈴木光司さんだからこそ思い付いて形にできた物語だな、と思いました。
 瀬名秀明さんとはまた違うタイプですが、物語を書けるだけではなくて、科学の知識があるからこそ独特の世界を生み出すことができている、ということで、勉強することの意味というか、勉強したことを活かす方法の多様さを学べる良い本(原作「リング」「らせん」)だと思います。


おきてがみ
by new-ikumen | 2013-10-22 22:31 | 人生を豊かにする読書


<< メロン…、パイナップル…、 命のつながり >>