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優しくなるために、読書をしよう。
 初めて読んだ沢村凛さんの小説が面白かったので、
 続けて何冊か読みました。

 で、
 これまた、良かった!面白かった!

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『 タソガレ 』 ( 沢村 凛 さん / 講談社 )

「 相貌失認 」 という、人の顔を認識することができないという脳機能障がい?の女性が主人公。

 人に会っても、以前に会ったことがある人か、認識できない。
 体格や仕草、服装の好みなどで人を認識するようになっていくため、
 同じような体格・服装の人ばかりの中からは、家族すら見分けられない

 そんな女性と、ボーイフレンド、友達の周囲で起こる怪事件、
 そして、とっさの機転でギリギリのところで危険を回避していくハラハラドキドキのサスペンス。

 やっぱりジャンルとしては、ミステリーなのかなぁ。

 それにしても、面白かった~。良い本でした~。

 色々な事件を乗り越えて、
 それでもこれから幸せに暮らしていけそうだな、と思われた終盤、
 まさかの展開。
 そして、その事件が最悪の事態は避けられたか、という状況での、

 主人公と親友との会話。

「 わたし、今回のことでも思ったんだけど、人間ってみんな、できることや、できないことが違うんだね。私は人の顔が覚えられないし、梨李香は予定どおりに物事を進められない 」

 わたしの気まぐれは、里美の相貌失認と同列に並べられてしまった。

「 だけど、そうやってずれているから、補い合える。昼の光と夜の光が混ざりあって、黄昏時にきれいな夕焼けができるように 」



 僕は、相貌失認という言葉すら知らず、初めて知ったので、
 現実にどのくらいそういう苦労を強いられている人たちがいるのか、知らないまま、
 半ばフィクションのような感覚で読みました。

 が、読後、調べて見ると、どうやら相貌失認の悩みを抱えているひとは、2%もいると言われているそうです。気が付きませんでした。

 どうも、最近のテレビドラマの題材にもなっていたらしいので、
 相貌失認という言葉や疾患の認知度は上がっているのかもしれません。

 せめて認知度があがってくると、
 何の罪もないのに苦しんでいる人たちの苦しみが軽くならないかなと、少し期待しています。

 ということで、
『 タソガレ 』 おすすめです。

 ミステリーとしても、面白いです。

 相貌失認を取り上げた社会派小説としてもなかなかのものでしょう。
 苦労や悩みがとてもよく伝わってきます。

 さらに、
 人生を前向きに考えられる、啓発本的要素も兼ね備えた?素敵な本です。

 良い本を読みたい、とか漠然と思ったりすることもあるけど、
 実際はやっぱりスリルやドキドキを求めてしまうかたに、特におすすめです。



おきてがみ
by new-ikumen | 2015-05-27 21:36 | 人生を豊かにする読書


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