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さらっと読めて、ぐっとくる。
 タイトルを見て素通りできなかったため、図書館で借りてきた本。

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『 賢者はベンチで思索する 』 ( 近藤史恵さん / 文藝春秋 )

 ファミレスでバイトするフリーターの女の子。
 同じバイト先で働く男の子に恋心を抱きます。

 その彼が作った料理を食べて子供が嘔吐する事件が発生。

 不思議な脅迫状?が送られてきたりして、彼はバイトを辞めようか、なんて言い出します。

 人によっては衛生的でないと捉えられ兼ねない店員の態度に不満を持った犯人による嫌がらせであることが判明し、気になる彼がバイトを辞めるのを阻止できました。

 この事件の解決に一役買ったファミレス常連の不思議な老人の言葉。

世の中にはもちろん、たくさんのルールがあって、それを守らなくてはならないが、だからといって、小さなルールを破ったくらいで、大きな罪を犯したのと同じ罰を受けるべきではないというのも、大切なルールのひとつだろうね。


 ルールの大切さを教えなくてはいけない立場でも、全てのルールを守れない場合があります。
 小さなルールなら破っても良い、と教えるわけにはいきませんが、「 厳しく罰するべきではないというのもルール 」というのは良い言葉のような気がしました。
 都合が良いだけ?でしょうか。


 このほかにも、

 譲り受けることになった子犬が命を失えば悲しみ、代わりに保健所から犬を譲り受ければ命を救った気持ちになり…と、知らなかったら心が動かされなかった動物の命について考えさせられる事件や、ファミレス常連の家族の子供が失踪する事件!など、いろいろな事件が発生します。

 そして、全ての事件が、とても思慮深く愛情にあふれた老人の心遣いによって解決していきます。


 少女を取り巻く日常物語と思って読むと、ミステリー。ミステリーと思って読むと、軽い。単なるエンターテイメント小説と思って読むには、素敵な言葉・メッセージがたくさん見つかる。という雰囲気の物語です。

 さらっと読めて、ぐっとくる。

 思いがけず、良い本に出会えました。
 著者である近藤史恵さんは、時代モノのミステリーなんかを書かれているようです。
 ほかの作品も読んでみようと思いました。


おきてがみ
by new-ikumen | 2013-04-13 19:00 | 人生を豊かにする読書


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