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ぜんぶなくす
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『 ぜんぶなくす 原発ゼロ世界へ 』 ( 小出裕章さん / エイシアブックス )

 ずっと原発に反対してきた小出さんが、原発の真実と原発に対する思い、考えを綴った本。
 とても分かりやすく、どうして日本は原発を何十基も建ててしまったんだろう、と疑問を抱かずにはいられなくなります。


 化石燃料が有限だということは分かるけれど、

 原発の燃料はもっと少なかった。

 もう、やめればいいのに。本当に、そう思います。

 メリットが何も感じられないです。


 政府が安全って言ってるから、安全なんでしょ?

 って、まだ思ってる人がいたら、即刻読むべきです。



 以下、
 本当は、内容をそのまま書き写したいのですが、そういう訳にもいかないので、原文に近い形で紹介させて頂きます。僕の主観も入ってます。



 小出さんが、本の中で「2000年度原子力白書」というものを紹介してくれています。
 これは、国の原子力安全委員会がJCO事故の翌年に発行したもので、こう書かれているそうです。

「多くの原子力関係者が、『原子力は絶対に安全』などどいう考えを実際には有していない」

 開いた口が塞がりませんね。「原子力は絶対に安全だ」と国が言い続けてきたから、一般の人々も、「安全なんだ。事故なんて起きないんだ」と信じ込まされた。
 ところが、原発推進の中心メンバーである原子力安全委員会が「安全だとは考えていない」と言い出していたのです。(大きな声でなくね)

 実際には、原子力研究者は誰も安全だとは考えておらず、国もそれを認めたということです。

 続いて、この白書は、

「にもかかわらず、こうした誤った『安全神話』がなぜ作られたのだろうか」

 と続きます。

 神話を広めた張本人が、「安全神話」だと言っているのです。
 自分たちが、お金に目の眩んだ専門家の「権威」を動員して「安全神話」を原発立地住民に振りかざしてきたんじゃないか。

 そして白書は、「安全神話」が作られた要因として、以下を挙げています。

・ほかの分野に比べて高い安全性を求める設計への過剰な信頼
・長期間にわたり人命にかかわる事故が発生しなかった安全の実績に対する過信
・過去の事故経験の風化
・原子力施設立地促進のためのPA(パブリックアクセプタンス=公衆による受容)活動のわかりやすさの追求


「パブリックアクセプタンス活動のわかりやすさの追求」というのは、分かりやすさという名目で原発受け入れが容認されやすい広報活動を進めてきた、ということ。要するに、推進派の思惑を隠して、いかにシンプルに騙せるか、という意味。ヒドイもんです。


 そして最後にこう書かれています。

・絶対的安全への願望

 誰だって、事故なんて起きてほしくないでしょうし、安全であってほしい、と思うでしょう。
 それでも事故は起きてしまいます。

「原子力は安全だ」と宣伝し続けてきた張本人が、「安全神話」だと言っている。
 ここまで認めてもなお、「原発は事故を起こさない」と言い張ってきました。
 そして、悲惨な事故は、起こってしまった訳です。


 これ以上問題を起こしたら困る事故処理の現場でも、事故・間違い・失敗が連発しています。

「 審査をしたら、他の原発は安全でした 」 と言われても、信用できないのが普通の感情じゃないでしょうか。
 安全だと信じたい、事故は起こらないと信じたいからといって、もう騙されてはいけないのです。


 それでも推進派の意見を信じるという人も、読んでおいたほうが良いと思います。
 もう、次は(絶対にあってほしくないですが)、
「 事故なんて起こらないと思った 」 なんて言えないですよ。

 福島第一原発で今なお続く危険性を、はっきりと警告してくれている専門家がいる。
 ほかの原発も、もっと危険を孕んでいると警告してくれている専門家がいる。

 知らなかった、で自分を納得させられますか?
 想定外でした、とあとから言われて納得できますか?



 東北大震災の前から、原発の危険性は警告されていたんです。
 一体どんな警告があったのに、僕らは見過ごして、原発を許容してきてしまったのか、
 反省の意味で、読みたいと思います。

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『 原発事故 日本では? 』 ( 高木仁三郎さん / 岩波書店 )

 1986年、チェルノブイリの事故後に発行された本です。
 当時、僕は小学6年生でしたもん。

 ソ連(当時)でそんな大変な事故があったなんて、知りませんでした。
 気付いていませんでした。
 えぇ、のほほんとした小学生でした。

 今の子供たちも、これから何十年もかけて対応していかなければいけないような事故が起こったなんて、理解できていないと思うのです。

 でも、
 原発を選択してきた訳でない世代に、後始末をお願いしなければいけません。

 僕だって、選択してきたつもりはない、と言いたくもなりますが、反対することもなく、危険を訴える声に耳を傾ける事もなく、「安全なんでしょ」と信じてきた、そこに責任はあるから、これ以上甚大な被害が起こらないようにしていきたいと思います。

 原発ほど、将来に負の遺産ばかり残す悲惨な施策はないです。
 だから、もう、原発はやめましょう、と言いたいのです。


おきてがみ
by new-ikumen | 2013-10-17 22:22 | 人生を豊かにする読書


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